雑記

虹

サークルのOBである先輩方と三人で小旅行に行ってきました。先輩の運転する車でぶおおおと行ってきたのですが、メチャメチャ楽しかったですね。
時間の感覚がかなり曖昧ですが、簡単にレポっときます。
空はあいにくの曇天模様でしたが、雨は降っていませんでした。朝の9時に出発して車に揺られること約1時間強、道中は美談雑談余談で盛り上がりつつ、最初の目的地に到着しました。たまごかけごはんの美味しいお店です。
定食を注文して出てきたのは、白飯にお味噌汁、たくわん、そして生卵でした。カッカッと卵を割り、器に落とします。チャチャチャと箸でかき混ぜ、いい具合に白身が解けたところで、熱々のご飯にサーッと流します。卵をまとった白飯はまさに黄金の輝き。その美しさに溜息をつきながら、一口頬張りました。
サラリと崩れる白飯に、濃厚な卵の味わい。卵特有の生臭さだとか水っぽさというのは一切なく、ひたすらにコクのある卵の味が口いっぱいに広がりました。二口、三口と味わった後に、醤油タレをたらします。卵の新鮮な風味は薄れてしまうものの、醤油の塩味が食欲を刺激します。カカカカ、と気付いた時には、お替りを求めていました。
卵かけご飯を二杯、出し巻き卵をひとつ食べてご馳走さまをしました。その後は近くの公園で軽く散歩をしたり、顔枠つきの看板で写真撮影をしたりしました。
次に向かったのは美術館でした。入場料が700円と結構高め(?)でしたが、入ってよかったと思える内容でしたね。
一番楽しかったのが、音が反響しまくる部屋です。壁に特殊な材質を使っているため、その部屋の中で立てたあらゆる音が例外なく反響してしまうわけです。半月状というか半球状というかそんな形状の部屋で、広さは小学校の体育館くらいありました。部屋の端に立って小声でぼそっと囁いてみたら、部屋の反対側にいる人に聞こえていたという。聞かれてヤバイことは何も言ってませんが、純粋にびっくりしましたね。靴音の反響っぷりがすごかった……。
図書館に行ったり本屋に行ったり、ケンタッキーに行ったりした後、午後3時くらいに菓子屋さんに到着しました。あ、ちなみにケンタッキーに行ったのは生まれて初めてでした。
それはさておき、菓子屋さんの話です。ドラ焼きだとか、ワッフルだとか、大福だとか……とにかく、甘いものをたくさん揃えているお店でした。先輩の一人が菓子会社に勤めておられるのですが、その先輩がいう「ちょっと気になる店」というわけで行ってみたわけです。
僕が買ったのは、ドラ焼きと大福でした。大福は冷凍されてかちかち(※仕様です)だったので、ドラ焼きだけを食べることにしました。食べてみた感想としては、中身の小豆に関しては普通の味でしたが、外側の生地が市販のものとはかなり違いました。指で触ってわかる圧倒的なふわふわ感と、口に入れた時の口どけのよさが印象的でした。食感ってのも美味しさのひとつだなぁ、と再認識しましたね。喉にするっと落ちていく気持ちよさ。口の中も粘膜なんですから、そこから快感を得てもおかしいことじゃありません。快感=美味しさ、ということになるんでしょうかね、この場合。先輩はほんのり期待はずれな顔をしていましたが、僕は普通に美味しかったですね。
その後、夕食の予約時間まで結構あるので、城跡を見に行こうということになりました。しかし、城跡のふともまでは行ったものの、駐車料金が要るということで、かなーり面倒になってしまいました。
そのへんの文化ホールのようなところにこっそり止めておこうとしたところ、係員のおじさんに注意されてしまいました。ただ、このおじさんは親切にも無料で駐車できる場所を教えてくれたんです。以下、再現(うろ覚え)。
「そこ坂を下りて、右折禁止のところを左に行くでしょ? そしたらすぐに大通りがあるから、そこを左に行って、まっすぐ行くと信号が三つあるから、その三つ目を左に曲がりんさい。それでまっすぐ少し行くと、銀行があるから、そこを右に曲がって、その銀行の正面を右に曲がると駐車できる場所があるよ」



「わかったかい?」


>はい
 いいえ


やー、メチャメチャ長い説明でしたねー。僕はいつ「さて、わしは何回『左』と言ったかね?」と、質問されることかと冷や冷やしてました。
冗談はさておきます。そのおじさんの礼を言って、車を発進させました。先輩達は、途中からおじさんの話は聞かずに、「地図を見ればいいか」と考えておられたそうです。さすが。
なにかと面倒になってしまったので、城跡に行くのは諦めました。そして、最後の目的地である寿司屋さんに向けて車を走らせました。
途中道の駅によって、たこ焼き(※心が温まる)を食べました。この時点で大体4時前だったと思います。順調に進んでいたわけですが、そのままだと寿司屋の予約時間より早く着きすぎてしまうよいう理由で、少し時間を潰すことにしました。向かった先は、ちょっとした森林公園です。
午後4時半。入り口まで行ったまではよかったのですが、入場料が必要であることに驚愕。お金の遣いどころにこだわりまくる一向は、「もう、別にいいよな」「うん、いい」ということで、引き返すことにしました。時間の無駄になったかなぁ、と全員が思いかけたところで、思いがけない物を発見しました。
でっかい虹です。ちょうど山際に沈む太陽を背に向けて走っていた僕らは、前方の空に掛かるものすごく大きな虹を見つけました。僕が今まで見た虹のなかでも、とりわけ大きく、何より鮮明に見えました。赤から紫まで、くっきりと。
これはゆっくり見ないともったいないということで、僕は近くのスーパーに車を止めることを提案しました。先輩方も賛同して下さり、ゆっくりと虹を眺めるチャンスを得られました。その時、スーパーの遊具場で遊んでいる家族連れがいたのですが、虹に気付いていない様子でした。
子どもの頃の感動体験は将来への財産です。これを見せてやらないとあの子たちはきっと損する……だけど、近寄っていって「あれは何だ!?」とかやってもただの不審者です。
そこで僕がとったのは、はしゃぎながら空を指差すというものでした。すると、遠くにいた家族連れも(多分)僕の動きに気付いた様子で空を見上げ、そのでっかい虹に驚いていました。子どもは嬉しそうに走り回り、親はカメラで記念に残そうとしていました。良いことをした、と勝手に悦に浸ってると、「いや、自然に気付いたんじゃね?」と先輩からの厳しい突っ込み。気にしない。
夕方というあの時間、天気雨というあの天候、夕陽をバックにするあの場所、そして冬の12月というこの時期、すべての条件が揃ったからこそ見られた自然の驚異だったと思います。本当に素晴らしいものを見ました。せっかくなので、写真を貼ってみたいと思います。うまく貼れるといいなぁ。
午後5時半くらい。すっかり日も暮れて、あたりは暗くなりました。予約の時間までそのへんをぶらついて時間を潰した後、寿司屋さんに入店。威勢のよい声にドギマギする僕と先輩の二人。ぶっちゃけ、ホストであるもう一人の先輩がいなかったら入れなかったと思います。回ってない寿司屋なんてっ……!!
何を注文するかで迷うこと数分。まだかまだかという顔でオーダーを聞きに来る女将さん(?)に威圧されながらも、とりあえず握りのセットを頼むことにしました。
待つことさらに数分。寿司が来ました。見ただけで美味しそうでした。写真を撮りたいと思いましたが、流石にそれは田舎もんすぎるので自重しました。ですが今思うと、もし写真を撮っていたら、先輩方も「あとで送っといて」とか言ったんじゃないかという気がします。予想ですが。
握りは、トロ、アナゴ、ハマチ(多分)、タイ、大エビ、鮭、ミル貝(かな?)だったと思います。それに茶碗蒸しと赤だしがつき、サーモンのたたきがついてきました。柚子風味の茶碗蒸しにはエビ、ギンナン、アナゴ、鮭など具がたくさん入っていました。
で、味の感想です。それぞれ握りをひとつ食べました。


(;゚д゚) (;゚д゚)  (゚д゚;)


(゚д゚) (゚д゚)   (゚д゚)


食べた瞬間、全員無言になりました。むぐむぐと口を動かす野郎三人衆。何かを思い悩むような、祈るような表情で食べる僕たちを見て、カウンターの女主人さんは若干引きつっていました。
いや……もう、美味すぎました。噛めば噛むほど味が出る白身なんて初めてでしたね。噛んでも噛んでも味がなくならないんです。しかも歯ごたえが半端じゃなかったです。美味しい魚ってのはこういうのをいうのかー、って思いました。泣きそうでした。自分が今まで食ってきたものは何だったのかと。
サーモンのたたきも絶品でした。香ばしく炙られた鮭の身に、ネギと醤油のタレ、そして紅葉おろし。外側はさっくりと焼けているのに、中はとろりと生のまま。甘い身と甘辛いタレのコラボレーションが絶妙でした。
その後もほとんど会話をすることなく食べ続けました。全部食べ終わったところで、やっと一息ついて会話をする余裕が生まれました。なんというかもう、言葉を出さなくてもお互いに考えていることがわかってしまう状態でしたね、食べている間は。
その後は、玉子、ウニ、ヒラメ、と食べました。玉子はそうでもなかったのですが、ウニの濃厚な味はヤバかったですね。あんなもん食べてしまったら、もう回転寿司のウニなんて食べられません。美味しいだけじゃなくて、クセがないんですよね。一貫(一個)500円するだけのことはあります……伊達じゃねぇ。
惜しみつつも、ゆっくりと味わいながらヒラメを飲み込みました。一同、満足な顔をしながらお茶をすすっていました。「ああ、もう、幸せだ」というのは僕の言です。
夕食は先輩に奢っていただきました。大学院合格祝いということだったので、素直にありがとうございますと謝辞を述べておきました。一昨日も書きましたが、こういうとき遠慮しちゃいかんですね。
午後7時ぐらい。駅付近でお疲れ様をして解散しました。ひとりの先輩とは帰る方角が一緒だったので、車に乗せて連れて行ってもらいました。途中まででもよかったのですが、「せっかくだから家まで送ろうか?」と言ってくださったので、申し訳ないと思いつつも送っていただきました。実際、バスがなかったのですごくありがたかったです。
午後8時に帰宅。卒論をするつもりだったのに、押し寄せる満足感に耐え切れずあっさり眠りの世界へ。午後11時くらいに目が覚めて、このレポを書きはじめました。


総括。
綺麗だった、美味しかった、楽しかった。


以上。これで十分ですね。