英語

「その本はテーブルの上にあります」
こいつを英訳するとどうなるか。
中学1年生だったら、ほぼ間違いなく、


There is the book on the table.


と答えるらしい。


けど、実はこれは間違いだったりする。
There is 構文というのは、いわゆる新情報を相手に提供するときにつかわれる。
そのため、旧情報(すでに話し手と聞き手の間で認知されている情報)を There is 構文をつかって提示するのは間違い。
だから、この場合は、


The book is on the table. (その本ならテーブルの上にあるよ。)


とするのが正しいんだそうな。
「その本」と言っているあたり、本についての会話が直前にあったのでしょう。「俺が貸した孤独のグルメどこ?」とか。
「俺の貸した本どこ?」って聞いているのに、もしも、


A book is on the table. (本ならテーブルの上にあるよ。 ※孤独のグルメとは言っていない)


などと答えようものならば、リアルファイト必至。なめとんのか。
ちなみにこの英文。"a book"は新情報であるため、できるだけ文の後ろに置きたいです。
"A book is on the table."でもまぁ悪くないですが、"There is a book on the table."の方が英語としてはスマートに見えます。ただし、話し言葉で"there is"を使う頻度については別の問題です。このへんはコーパスとか確認しないといい加減なこと言えません。
この場合の"there"に「そこに」という意味はなく、ただの形式的な主語にすぎません。仮主語だったっけ? あやふや。
「後ろに新情報(a book)を置きたいんじゃあああああ、でないとモヤモヤするんじゃああああああ!」という要望を叶えるために、人類が歴史の中で生み出したわけですね。いつだれが、までは調べてません。
生徒が学ぶときは"There is"や"There are"といったふうにセットで学ぶことが多いですが、厳密に言えばそれぞれをペアでくくってしまうことはおかしな話なんですよね。
本来ならば、"There"だけが別物であるべき。だけど、教える便宜上形式化しやすいから、こういうくくりかたになってしまうわけで。
でもここまで厳密に教えるとなると、ドロップアウトしてしまう子もでてきそうだから大変。マスターできたらへへぇ〜ってなるだろうけど。


最後に、"A book is on the table."と"The book is on the table."を使った会話例。



A:Hmm, I'm bored. Do you have anything to read?
B:A book is on the table.
A: 退屈だな。何か読むものない?
B: テーブルの上に本があるよ。



A:I want to read Kodokuno Gourmet.
B:The book is on the table.
A: 孤独のグルメ読みたいんだけど。
B: その本ならテーブルの上だよ。



後者はふつーに"It's on the table."って言っちゃうだろうなー。
前者の場合、強調したいのは「本がある」という情報であるため、できることならば"a book"という新情報は文の後ろのほうに置きたい。そのために"There is a book on the table."という形がとられうるわけですね。
あ、"book"じゃなくて"comic"のほうが自然だったかも。まぁいっか。