雑記・夢

ここ数年で最悪の夢見でした。嫌な汗かきまくりの目覚めでした。最初のふたつの夢はまだよかったんですよ……でも、最後のひとつが酷かった。
一つ目は、暗い森のような場所で、木の上にいる竜人(?)を光線で殺戮し続けるという夢。知覚がぼんやりとしていたので、さほど「何かをしている」という感覚はありませんでした。竜人は、シルフェイド幻想譚のやつに似てたかも。
二つ目は、兄と一緒にパワプロをする夢。対戦で遊んだ後、サクセスモードを楽しくプレイしていた覚えがあります。


で、問題の三つ目です。これがなんと明晰夢だったんですね。ふっと目が覚めたと思ったら、そこは兄の部屋だったんです。外はうっすらと明るくて、家の中はしぃんと静まりかえっています。ひとまず立ち上がって、下の階に下りようとしました。すると、後ろから甲高い声が聞こえたんです。
「ねえねえどうしたの? 誰もいないよ? お金払って?」
姿は見えないのですが、甲高い妙な声でした。僕はその何物かの姿を探そうとしたのですが、ほとんど直感的に「視界に入れてはいけない」ということがわかったんです。ほら、夢を見ていたらたまにありませんか、「このパターンはやばい」とか「あれに捕まったらいけない」と、なぜだかわかってしまうケースが。今回のはまさにソレだったんですよね。
僕はその何物かを視界に入れないようにしました。明晰夢である以上、僕にとってそれはある意味リアルです。後ろから囁いてくる声に耳を貸さずに階段を下りました。くるくると僕の周りを動くそいつを出来るだけ視界に入れないように、時には目を閉じ、時には視線を逸らしました。
ちなみに、その「何物か」がどういう存在なのかは、その夢の中でしっかり認識していました。ほとんど直接見てはいなかったのですが、姿はアリスソフトのハニー、役割としてはジョジョのチープトリックの逆バージョンです。視界に入ってこようとこようとするんですね。で、見たらやヴぁいと。
居間に着きました。誰も居ません。その瞬間僕は、「自分が家族を殺した、あるいは見捨てた」ということを自覚しました。もちろん夢の話ですから現実にはそんなはずがありません。ですが、その夢の中に限っては「それ」はリアルだったわけですね。
背筋がゾワッとしましたね。自分に付きまとう謎めいた存在に対する恐怖、そしてもう誰も自分を助けてくれないのだという恐怖が我が身を凍りつかせました。
「ねえ、どうしたの? お金、お金払ってよ」
意味不明な言葉ですが、僕にはなぜか通じました。目を合わせずに会話します。
「お金、ない」
「じゃあ、お金に換えよう。DVD、DVDがいい!」
そんなやりとりをした後、二階の自室へと向かいました。僕はテレビの前に転がっているPS2のそばにしゃがみこみ、頭から布団をかぶって視界を狭くしました。しかし、「まだ? どう?」と言って狭い視界に割り込んできた「そいつ」にうっかり目が合ってしまって――


目が覚めました。自分の部屋の布団の上でした。時計は午前4時。


心臓が激しく鼓動していました。僕はその時、自分が起きているのか寝ているのか、つまり現実なのか夢なのかが判りませんでした。夢の中でも自室、現実でも自室。見極める手段も余裕もなかったんです。
目をうっすら開けると、点けっぱなしの電灯が目に入りました。「そういや、夕べは消さずに寝たんだっけ……」と思いながら、布団から出ようとしたその瞬間、不意に夢の内容がフラッシュバックしてきました。さっきまで感じでいた「怖い」という感情も一緒にです。
僕は布団から出られませんでした。今はダメだ、動いちゃいけない、怖い何かがいる、何かが起きる。そんな根拠のない恐怖を感じていたんです。
結局、電気を消さずに眠りに落ちました。ああ、電気代が無駄にかかってしまうなぁ、母さんに謝らないとなぁと、暢気なことを考えながらです。


そして気がついたら、兄の部屋でした。
僕の背筋は一気に冷たくなりました。外がぼんやり薄明るいのも一緒、家具の配置も電灯の位置も一緒でした。
僕は半ばパニックを起こしかけるのと同時、「やっぱり」という気持ちでいたんです。なぜかというと、一度目が覚めてからもう一度眠る前、僕はまた直感で思ったんです。
「さっきの夢は続くんだろうなぁ」と。
まぁ、望まないことに限ってリアルになったりするもので。夢の中で僕は、自分の布団が少し盛り上がっているのに気づきました。で、やめときゃいいのに、僕はその布団をめくり上げて覗き込んでしまったんですね。
布団の中には、案の定というか「それ」がいたわけです。


「おかえり! おかえり! どう、どう、どう!?」


そこで、腹の奥にでっかい衝撃があった後、視界が暗転。目が覚めました。午前6時40分でした。
過去最低とも言える目覚めに、一日中気持ちが悪かったですね。教員採用講座の演習も午後の講座はサボって家に帰りました。もちろん家でちゃんと勉強はしましたけど、とても講義を聴くという気分じゃなかったんです。


これだけ大人になって、まだあんだけ積極的な夢を見るとはね……信じられないですよ。