ラノベ

銀盤カレイドスコープ」を読み終えました。最終巻までです。
終わってみての感想としては、「ホッとした」としか言いようがありませんねー。9巻、もう9巻が物凄かった。読んでて胃が痛くなってきたくらいです。
全巻を通して言えたことなんですけど、試合前の緊張感の描き方が本当にリアルなんですよね。そういった緊張や恐れといった感情は、ある意味で人間の弱さなのですが、どうしても消し去ることのできない弱さなわけで。
だからなのか、僕は(ネタバレ反転)最後の最後でリアへの恐れと畏れを乗り越えたタズサが光り輝いて見え、在り得ないはずだった失敗に困惑し、狼狽するリアの姿に安心感を覚えてしまいます。特に、後者の思いはとても強いですね。登場人物皆が複雑な思いを抱えているというのに、彼女は完全無欠の存在として描かれていたためか、どうしてもイレギュラーな人物に思えてならなかったわけです。だからこそ、最後のシーンの失敗は映えた。隠れた人間らしさ、明らかにするという意味で絶大な効果を生んだのではないかと思います。あの書き方にはマジで憧れますね。
そんなこんなで、僕の一番のお気に入りキャラはリアだったりします。ビジュアルとかそういったのとは関係なく。
あ、でも9巻扉絵のリアには戦慄しましたね。見た瞬間に「こ、これ、はッッ!!」という心の叫びを発したのち数秒間固まりましたから。キレすぎてて最高、といった感じでしょうか。そりゃあんなの見せられたらタズサもああなってもしょうがないですよね。
リアとタズサとの掛け合いはもっとあって欲しかったなぁと勝手に思ったり。まぁ、量はそこまでないとはいえ、濃密さと甘さに関しては破壊力抜群だったわけですが。


にしても、「フィギュアスケートをテーマにしたラノベ? 微妙……」とか思っていた少し前の自分を呪ってさしあげたい気分ですね。勧められたときに素直に読んでおけばよかったのに。
あっという間に読み終えたわけですが、統括して大満足ですね。泣きながら一気に、というわけにはいきませんでしたが、わくわくしながら一気に読めた作品ってのは久しぶりかもわかりません。
大変、よい時間だったかと。