雑記

夕方になって思い立ちました。
「そうだ、夏を探しに行こう」
陽はすでに西日、風もそこそこと良い感じの気候だったのですが、汗をかくのはイヤだったのでタオルを持って出かけることに。レモン色のタオル片手にふらふら歩き回る20代の男……むさいしうざいし胡散臭いですね。
とにかく、サンダルをざりざり鳴らしながら、30分くらいかけて近所を散策してきたわけですよ。もちろん歩いて。


向かった先は北の山と南の山。南の山では大した戦果はあがらなかったのですが、北の山ではなかなか楽しい思いができました。
路地をふらふら歩いていたら、なにやらミャアミャア鳴き声が聞こえました。猫好き本領発揮、すかさず眼鏡を掛け直し、耳をすませばカントリーロード……ではなく、猫を発見しました。真っ黒の、まだ若そうな猫でした。
姿勢を低くしつつ、チッチッと舌打ちをして猫を呼びます。「ほーら怖くな〜い、怖くないからね〜?」といった感じのステキスマイル&猫なで声を放つことも忘れません。
おっかなびっくり黒猫(こっそり命名:ジョン)は近寄ってきました。とりあえず背中を撫でて、喉をくすぐって、最後に額をぐりぐりしてやりました。その間約1分。なんとなくですが、黒猫って人懐っこいですよね。三毛猫とかはすぐ逃げるイメージがあります。
その後は互いにモフりモフられて気が済んだということもあり、背中を向け合いさよならしました。そう、猫と人との道はその時違えたのです。ごめん大嘘。


それから南の山へと続く坂道を上りました。山道とはいっても、アスファルトで舗装されているので歩くのは楽なもんです。サンダルでも余裕余裕。
ぼけーっと歩いていると、気付けば僕の住む地域を一望できる高さにまで来ていました……と言ってもたかが知れてる高さなんですけどね。ちょうど陽が沈む時間だったので、綺麗な景色が見られました。夕焼けが出てなかったのは残念だけど、それはまたの機会のお楽しみにしよう。
大したことをするでもなく、山の上の見晴らしのいいブロック塀の上でぼけーっと座ってみたり、それを近所のオバサンに目撃されて不審な眼差しを向けられた挙句そそくさと退散したりと、そんな下らねえことばかりやっていました。山奥の方にも行きたかったのですが、蚊に襲われると厄介なので諦めました。やつらはしつこいですからね。


で、下山(?)する道中でのこと。なーんかやたらとセミの声がうるさいなぁと思っていたら、道路脇の草むらからツクツクボウシの鳴き声が聞こえてくるではありませんか。僕はすかさず「夏の匂い……っ!!」と呟いて急接近しました。どうでもいいのですが「突く突く法師」と表記すると、すっげー卑猥な感じがしますよね。む、「奉仕」の方が危険か?
まぁとにかく、草むらを漁ると案の定セミを発見したわけですよ。なんでツクツクボウシと判ったかって、そりゃその鳴き声で鳴いてたからに決まっとります。
僕は即座にセミ命名:ライス)を捕獲し指先に止まらせました。携帯のカメラを用意し、写真を撮ろうとしたのですが、彼は何度も手の甲によじ登ろうとするため、ぶれて写真が撮れません。「このせっかちさんめ」とか「早いヤツは嫌われるぜ?」とか言って止まってもらおうとしたのですが、これがなかなか人の言うことを聞かないやつでして、思いのほか手こずりました。結局、9〜10回目のトライで写真に残すことができました。しかし逆に考えたら、飛んで逃げなかったことの方がすごいんじゃなかろうか。


セミとの戯れ」という実に夏らしい夏をゲットした僕はホクホク顔で家路へと就きました。ちなみに捕獲したセミはちゃんと野へと放ちましたよ。昔はお持ち帰りして、積み木で作った家or迷路に閉じ込めて脱出劇を見るなんて遊びもしてましたけど、この年になって流石にそんなことはやりません。積み木もありませんしね。
家に帰った僕はすぐに風呂に入り、シャツとトランクスというスタイルのまま自室で夕涼み。いやぁ、実に幸せを感じましたね。
明日もさすらってみようかなぁ。雨とか降ったら楽しそうなんだけど。傘差して、ふらふら〜っと。ああ、すっげー楽しそうだ。