サークル(番外編)

そういえば、今日ちょっとした出来事がありました。
お昼時に部室で炬燵に入ってのんびり予習をしていたら、ふと男の先輩と後輩の女の子が入ってきたのですよ。「あぁ、こんにちは」と無難に挨拶をした後、また黙々と予習に取り掛かります。人が居ようと居まいと関係ありません。
しかし二人の挙動と会話に着目してみると、なんとも雲行きが怪しくなってきたのです。女の子がやたらでかい包みを取り出しました。なんということでしょう、中身は弁当箱×2だったのです。


ゴゴゴゴゴゴ


「どうぞ^^」
「ああ、ありがとう」
「味付けはお母さんに頼んだところもあるから大丈夫だと思います^^」
「へぇ、そうなの?」
「はい^^」
パカッ(先輩、弁当を開く)
「おお、うまそー」
「どうぞ、召し上がってください^^」
「おぉ、いただきます」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


……いや、ね? あの二人が付き合ってることは知ってたよ? 
だから、そういうこともあるのは頷けるんだけどね、なんで部室でするのかな?


いたたまれなくなった僕は、「じゃあご飯食べてきますね」と言って戦術的撤退。自転車に乗ってメシ屋へと向かいました。北風が目に染みることはなかった、はず、たぶん。
昼食を食べ終わった後、また部室へと戻りました。もう居ないことを願いつつ。
しかし、世の中甘くありません。二人ともしっかし部室に残っていました。しかも部室に甘酸っぱい柑橘類の匂いが漂っていました。後輩の子が持ってきた八朔(はっさく)だそうで。何かのイヤガラセですか?
それでも、僕が戻ってきてしばらくせずに二人とも帰っていったのは助かりましたね。あのまま甘ったるい空気が続いてたら発狂してたかもわからん。具体的には、こう、炬燵をひっくり返すような感じで。


なんかもう散々な午後でしたね。